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2011-05-03

ホムンクルスを読む

山本英夫っちのホムンクルスが完結したというので全巻集めてみました
本誌ではぱらぱらとしか見てませんでしたがこの作品は単行本で一気に見るのが向いていると思います
単行本だと何回も読み返しちゃうマンガとかありますよね バキとか

のぞき屋 殺し屋1に続いて今回の主人公も変態です
心の闇を抱えてるという言い方も出来ますが簡潔に言えば変態です
都内某所 高級ホテルとホームレスの住む公園の境で車上生活をしている名越進
ある日医者の卵鼻のでかい伊藤学さんにトレパネーションの実験体になってほしいといわれます
トレパネーションとは頭蓋骨に穴を開けることにより脳が圧迫から解放され第六巻が芽生えるとか
そんなかんじのあれです

そのトレパネーションによりなこっちゃんはホムンクルスという人の抑圧したトラウマが形になって見えるようになっちゃうんです
しかしこれのややこしいところは必ずしも全ての人がホムンクルスに見えるわけではなく
自身のトラウマとリンクしたトラウマでなければ見えない
つまりホムンクルスを見るという行為は相手のみならずなこっちゃん自身の閉じた心をずばずば切り開いていく事
裏を返せばそれだけ多くのトラウマをこの主人公はもってるんですね
そんな謎だらけのトラウマ富豪であるなこっちゃんの大活劇がこのホムンクルスという作品であります

以下作品詳細







1.やくざの組長
新宿で指詰め組長と恐れられてるゴリ顔の男
もう事あるごとに部下はおろか一般人の指もバンバン詰めようとするやんちゃな男です
彼のホムンクルスは超合金のロボ
しかしその強固なロボの中には自分の小指を鎌で切ろうとぶるぶる震えてる少年がいます
この中の人がトラウマの本体
少年時代に稲刈りをしていて誤って友達の小指を鎌で吹っ飛ばした罪悪感を超合金のロボで覆い隠してたわけですね
一方なこっちゃんも子供の頃ふざけて友達に大怪我を負わせてしまった
二人はその事を友達に謝る事も出来ずただ逃げてしまった自分の心を守るため、
組長は自分は人を傷つけていい人間であると思い込みやくざになり
なこっちゃんは人付き合いを避け孤独を選ぶようになりましたとさ
ヒュー
このエピソードは非常にわかりやすいし好きですね
罪悪感なんてオーソドックスでドラマにしやすいし感銘も得やすいでしょう
組長がブワッと泣いてごめんねごめんねするところなんてうっとりしちゃいます

2.女子校生1775
組長とは変わって新世代のホムンクルス
彼女は全身砂で出来ています
作中では砂のカメレオンという言葉を使ってます
器に入れればきちんとその形に収まりマニュアルに従う
裏を返せば自分という形が無いとかなんとか
親に与えられたマニュアルに反抗するにも万引きやブルセラといったいわゆる世間一般の「反抗」のマニュアルに則ってしか行動できない
そして砂だと思われた彼女のホムンクルスはよく見ると実は膨大な記号というマニュアルの集合体だったのです

かつて外資系の金融業でバリバリ働いていたなこっちゃんは数字や記号を操り会社を潰したり整理したりしていました
そのマニュアルの裏で路頭に迷う多くの人がいる事は意識せずただ目の前の数字をゲーム感覚で淡々と処理していたのですが
ある日自分の潰した会社のおっさんが落ちぶれているのを偶然目の当たりにしてしまい自分がやってきた事を省みてしまいます
記号っていうキーワードが女子校生とリンクしたのかな?
正直このエピソードはあんま好きじゃないんす
長いし
この解説も長い

3.伊藤学
なこっちゃんにトレパネーションを施し今回の一連のアレの発端となった鼻のでかい伊藤学(マナブン)
父親の形をしたガラスケースに水を蓄えた姿
その中に時折泳ぐグッピーが見えるホムンクルス
本体はこのグッピーであり グッピーはマナブンにとっての美の象徴らしいです
少年時代グッピーの美しさに憧れ女の子の格好をしていたところを父親に見つかり
あせった父親は息子が変になったと思いその原因のグッピーを殺してしまいます
実際はネコがやったんだけどね
グッピーを失った悲しみや父に対する怒りと一緒に自分の美しくなりたいという思いも一緒に忘れてしまい
その後、形を変える(美しくなる)事も無く性別通りに男の自分を生きてきたわけです

一方なこっちゃんは実は過去に整形をして顔を変えていました
不細工で誰の関心も惹かないつまらない自分を捨て顔を変え新しい自分になったわけです
顔を変え人の見る目が変わりみんなが自分に関心を持ってくれるようになりましたが
しかしそれは結局自分の顔や地位 金 物を見てるのであって自分自身を見てくれてるわけじゃない
整形という嘘の上に嘘の関心 嘘の金 嘘の色々などが積み重なり嘘まみれになってしまったなこっちゃん
人々の関心の土台となる顔が作られた嘘のものであるから一層そういう意識が強くなってしまったんでしょうね

マナブンは形を変えないことで嘘をつき、なこっちゃんは形を変えることで嘘をついたと作中では言っております
このエピソードはホムンクルスの核心ですね
特に8、9巻の二人が延々と対話する場面はトリップするくらい臨場感があります
あと途中からキャラがベタ塗りになるんで描くのが楽そうとか むしろそっちが気になるかもしれません
ともかくこれ以降、嘘=外見、金、物 本当=心 っていうフレーズが頻出します

4.ななみ
自分の整形前の顔を忘れてしまっていたなこっちゃんですが一枚だけ残っていた昔の写真を見つけその他諸々のことを思い出します
誰にも関心をもたれなかった自分に唯一関心を持ってくれた女性がいたことなど
なんだかなこっちゃん物忘れ激しいですね 日常生活に支障出るレベルじゃないでしょうか
その女性は七瀬ななこと言い不細工のなこっちゃんをしてとてつもないブスと言わしめる女性でした

そんな折ホムンクルスが突然見えなくなってしまいます
焦るなこっちゃん
ホムンクルスという人の心=「本当」が見えなくなったらまた嘘にまみれてしまう
そんな中一人だけ見えるホムンクルスがななみという女
彼女の顔は嘘をつくたびに別人の顔になりそれはすべてなこっちゃんがかつて関わった女性でした
彼女も過去に整形をしているらしく元は不細工
なこっちゃんは彼女にかつての恋人のななこを重ねます
重ねるなんて生易しいものじゃなくななこに間違いないなんて思っちゃいます
別人なんですが
嘘まみれで自分自身がわからなくなったなこっちゃんはかつて自分の本当を見てくれたななこを求めるわけですね
俺を見ろ俺を見ろです

しかしかつて実際にななこを捨てたのは当のなこっちゃんでした
ななこが関心を持ってくれた(見てくれた)お陰で自分に自信ができ前を向けるようになったなこっちゃん
しかし前を向いたときに目に入ってきたものは人々の外見という嘘でした
その前には人の心である「本当」は吹っ飛び「やっぱ人間見た目だよな」って感じでななこを捨てます
その時ななこは妊娠しておりました
不細工な自分のコピーができることに恐怖した事が最後の後押しになり、なこっちゃんは整形を決意します
ほんまなこっちゃんはワルやで…

一方のななみは捨てられた側でした
かつて不細工の恋人に捨てられた悔しさを整形することにより晴らすとかなんとか
捨てた側と捨てられた側がリンクしたわけですね
なこっちゃんはななみに俺の本当を見ろってことでトレパネーションを施します
まあそれが生兵法って感じでななみ死ぬんですけどね

最後に達人の域に達したなこっちゃんの目にはホムンクルスがすべて同じに映ります
それは自分の顔をしてました
ホムンクルスは自分自身!
私は世界 世界は私な感じのアバチューを髣髴させるENDです

ここまでが雑誌掲載分
単行本のみ収録の後日談があります

一年後
港でホームレス生活をするなこっちゃん
そこにすっかり女性化したマナブンが尋ねてきます
鼻もすっかり小さくなってます
人を見ることに少々疲れていたなこっちゃんは待ちかねていました
自分を見てくれる人を
んでマナブンにトレパネーションしようとしますが
警察きて逮捕



かなり人を選ぶと思いますが個人的には非常に面白い作品でした 4、5巻以外は
殺し屋1よりは読みやすいと思います あんまり痛くないし
精神的にえぐられる部分はあるかもしれませんが

アニメ版
つまりこういうこと
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